2006年/8月号
1. 今日のはじめに
 7月のおわりに、オレ、広島で講演して来たんよ。そん時のお話のベースが、
今回のロングホームルームの内容。オレ的には上出来でもなく不出来でもなく、
いつもと変わらんようにこなしたつもり。
 それがさ、ネ、講演のあとで回収されたアンケート用紙に
「話が非現実的でサッパリ理解できなかった!!!!!」って書いてもらった(笑)。
ついでにだろうけど「職業・高校教師」って書いてあった(笑)。
君たち、その先生が担任じゃなくてよかったネ。たぶん、その先生、マジでオレの話が
わかっちょってんないんと思うんよ。だって「!!!!!」(笑)、
5つならべちょっちゃったからの。君たちにはスーッって入っていくメッセージが、どうしても
受信不能なオジサンやオバハンって、やっぱりおる。受信不能というより、
アタマから受信拒否してしまうんやろね(笑)。
 そりゃそうと、それにしてもなかなか「勉強しよ〜や〜」の話にたどりつかたどりつかん・・・・・・。
ゴメン。いつか(笑)、必ず君たちの胸の中に「ストン」って落ちるようにまとめていくので、
今日もちょこっとだけ真剣に、オレのロングホームルームにつきあってくらはい。
2. ヤドカリ
 このまえ、「次はかならずヤドカリの話をします」って約束した。なので、ヤドカリやります。
 働くということに関して、ヤドリギは一生をひとつの会社で、だったよね。ヤドカリはというと、
貝がらを変えていくってことだ。
「ンじゃなにか、野村はコロコロ転職しろって高校生にすすめているのか!!!!!」なんちゃって
オジサンやオバハンにスゴまれたら、オレ、気が弱いけぇ逃げ出すかも(笑)。
 こわいオジサンやオバハンを意識しつつ、それでもオレがヤドカリのイメージを君たちに伝えたいのは、
わけがある。そのわけって、「どうしたってありえないだろうけど、もしかするとあるかもしれない」って
ことを、オレ的には思っているから(なので、非現実的としかられた 笑 )。
「どうしたってありえないだろうけど、もしかするとあるかもしれない」ナカミを、
次みたいに4つのニュースでまとめてみました。
 ひとつ。今から20年後のある日、ニュースで「高校教師、大量失業」ってやっているとか。
ニュースによれば「平成38年、文部科学省が衛星放送によるカリスマ教師の授業を、修得単位として認めた。
このため多くの高校生が学校を捨ててカリスマ教師の放送授業に殺到。その結果、数国社理英5科のカリスマ
教師5名と、ロングホームルームを担当する山口県の野村を除く大量の高校教師が失業した」とか。
オ〜、オレ、生き残っちょるじゃん!(笑)。

 ふたつ。やっぱし20年後。「国家公務員、8割の定数削減」とか。ニュースによれば
「平成38年、総務省は公務員の業務を、ソニーが開発した事務ロボット『マジメくん』に代用すると発表。
このため公務員志望者が急激に減って、国家公務員定数の8割が削減されることとなった」とか。
 みっつ。これも20年後。「弁護士、低賃金労働に泣く」とか。ニュースによれば
「法務省は平成38年、外国人弁護士の国内活動制限を完全撤廃した。このため、日本語を完全に
マスターしたインド人弁護士軍団が大量に日本に上陸。ケタはずれの低価格で次々と弁護人に
選任されることとなり、日本人弁護士は低賃金労働に泣いている」とか。
 よっつ。また20年後。「歯科医院、大量倒産」とか。ニュースによれば「中国政府は平成38年、
日本の高齢者を対象とした、ピッタシ入れ歯ツアーを北京で企画。中国4000年の無痛ハリ麻酔が大好評。
このため日本全国の歯科医院は、のきなみ倒産の危機に直面している」とか。
 ハハ(笑)!!ありえんかの、こんなことって。でもさでもさ、「昔は安定した職業だと思われて
いたにもかかわらず、今では職業そのものが消えてなくなってしまっている」って、あるじゃん。
カゴかき、渡し舟の船頭、バスのの車掌さん、タイピスト、電話交換手。あるいは、ものづくりしていた
小さな町工場。たとえば、うちわ、タオル、子ども服、ネジのメッキ、100円ライターなどなど。


 カゴかき、船頭、車掌、タイピスト、電話交換手などの職業は、技術革新の波にのまれて消えていった。
さっきのニュースでいうと、ひとつめとふたつめが、技術革新に関係しちょる。衛星放送とか事務ロボットとか。
 うちわ、タオル、子ども服、ネジのメッキ、100円ライターなどなど、ものづくりしていた町工場は、
海外の安い人件費に負けて消えていった。さっきのニュースでいうと、みっつめとよっつめが、
海外との競争に関係しちょる。インドとか、中国とか。
 これからの未来、ヤドカリしていかなきゃやっていけないかも、っていう理由が、この技術革新と
外国との競争にある。なので、ちょこっとヤドカリから寄り道して、技術革新と外国のことにふれちょくね。
3.技術革新と外国
 技術革新とか外国とか、そんなものってなにも今どきだけの話題じゃない。
縄文時代には石をみがいて道具にしちょった。それって打製石器にくらべるとスゲー技術革新だ。
縄文の人々がドングリ食ってるころに、黄河とかメソポタミアとか、外国には外国の文明が栄えちょった。
技術革新も外国も、特別に目新しいもんじゃないさ。
 ただね、君たちが生きていくこれからの時代は、技術革新については「スピード」、
外国については「つながり」がものすごく重要なポイントになってくる 。だからといって、
あれど、「なんかタイヘンそ〜」とか思うちゃいけんのど。生き生きとやっていけるんだし、
ブチ楽しい人生が過ごせるんじゃから。ホンマど。このロングホームルームが終わる頃には、
君たちの中には「なるほどネ!!」っていう思いが育っちょるから、大丈夫だ。
ただし問題がひとつ、このロングホームルームって、いつ終わるんじゃろうか?(笑)・・・・・・・・・・。
 技術革新のスピード、いくよ。
 縄文時代は磨製石器を使って1万年がのんびりとすぎていった。1万年ののち、石器は金属器に変わる。
技術革新にかかった時間が、1万年。
 中国に宋という国があって、木版印刷が発明された。1000年前の大きな技術革新だ。
それから人類はずっと、ペッタンペッタン印刷してた。1000年後、印刷は輪転機を使って
オフセットでしよる。技術革新にかかった時間は、1000年。
 ベルというオジサンが電話を発明したのが1800年代の後半。100年ちょっと前の技術革新。
その後ずっと、人類のモシモシは電線でつながっちょった。それが今では、子どもでもケータイ持ち歩きよる。
技術革新にかかった時間が、100年。
 ケータイの出始めはアナログだった。20年前の技術革新だ。それから10年後、ケータイはデジタルに
なってオレじゃ使いこなせない機能をいっぱいくっつけちょる。技術革新にかかった時間は、10年。
 オイ。1万年も変化せんかった時代があるのに、今どきは10年ど。ケータイの話に第4世代のことまで
入れると、3年ど。パソコンのチップの話までまぜると1年を切るんど。ドングリ食いよったころの、
10000倍のスピード感!!

 あと、外国のこと。
 あのね、地球の上の地面に、線を引いちょるじゃんか。その内側が、国。
その線が国境。国境は地面だけじゃなくて水と空気も仕切っちょる。それぞれ、領土・領海・領空。
そん中でまとまりよくまとまっていきまとまっていきましょうってのが、国家だ。
 いつも江戸時代を引き合いに出すけど、江戸時代の日本って、鎖国じゃろ?
内向きにまとまっちょった。この極端な例の反対の例だけど、今どきはネットがあるじゃんか。
ネムのパソコンはヤフーがネットの入り口で、ヤフーの画面の一番下に世界のヤフーてのがあるよ。
そこんとこのアメリカとか、クリックしてん。ホラ、アメリカにつながった。3秒だ。

国家が鎖国しちょるのとくらべると、今どきはどれだけ世界中とつながっちょるかってこと、イメージ
できるよね。サッカーのワールドカップ、サッカー日本代表の監督、スモウの横綱、そしてオレの奥さん。
 オレの奥さんが正統な山口弁をしゃべる純血の日本人っていう以外(笑)、
君たちの身近はたくさんの外国とすでにつながっちょるじゃんか。国境という線引きをスッ飛ばして、
げんにもう、日常は世界のまっただなかにある。
 ハイスピードの技術革新と地球規模の人々のつながり。かつて10000年をかけていたことが
1年単位となり、かつて無関係なよそごとだったことが、自分の身近なできごとになる。
君たちが80歳すぎまで生きるとして、これから先の70年、時代は、たぶんその方向からズレんと思うよ。
磨製石器にはもどらんし、鎖国の時代へ逆もどりすることも、ありえない。
4.でもって、ヤドカリ
 技術革新の速度と地球規模でのつながりが、なしてヤドカリになるんかっツーと、
キーワードは「置き換え」じゃろう。
 仕事が、ひとつは機械に「置き換え」られる。それも、超スピードで。
もうひとつは、外国人の手に「置き換え」られる。それも、地球規模で。いずれにしても、
ひとつの仕事が他に「置き換え」られた時、その仕事をやりよった人は、その仕事を失っていく。
そこんところの不安につけ込んで、前にふれたハイパーメリトクラシー教育論がさかんなんよ。
「おまえら、ニートになるんかフリーターになるんか!正社員にあてはまるよう頑張らんかい。
だけど、正社員への道cLビシイんど!!大学行かんかい、大学院出とかんかい、資格取っちょけ、
語学ができれ、笑顔と体力バッチリ状態、相手のしぐさで心を読み取れ、これでようやく正社員!!」って
オレがからかった、あの教育論。
 そんな、不安ばっかしあおり立てて、子どもを追い込むなっツーの。
 ホンマにハイパーメリトクラシーでなきゃ、やっていけんのか?大学院の修士課程を終わるのが
24歳として、じゃあ、24歳までに「大学院まで行って、大学院レベルの資格を取って、
英語がペラペラしゃべれて北京語がペラくらいにしゃべれて、説得力があって人間力があって
コミュニケーション力があって・・・・・・。」ぐらいになっちょかんと、暮らしていけんのんか?
あと、ここんとこ大事なんだけど、24歳までにカンペキそうなっちょったら、だったら一生は保証されるんか?
 あのね、オレ、高校教師大量失業の時代って、ホンマに来ると思うんよ。
黒板を背中にしてチョーク・アンド・トークでやりよる教育が、衛星放送に置き換えられたって、
何の問題もない。ただ、教育といういとなみが消えてなくなるんじゃないんだ。
だから、通信教育で学習できるところはトコトン情報化して、あと、子どもにどこまでも
かかわり続ける教育メンターっていう仕事が、新しくできてくるさ。
学習の情報化と人格への深い関与 これって、ネムじゃん(笑)。
 弁護士が低賃金の時代って、来てもエエと思うんよ。自己破産なんかのマニュアル化された仕事を
外国人弁護士が低額でやっていくって、何の問題もない。
ただ、権利擁護という理念が消えてなくなるんじゃないんだ。だから、法律家がおこなう、適時に適切で丁寧な
法的生活カウンセリングだとか、ごくフツーの家庭の資産管理を専門とする新しい領域が、必ず出てくる。
日本人弁護士は、特化した領域で高収入を維持しているさ。つまり、高度な専門性に特化した、
切実なニーズに対応する個性的なサービスの提供 アレ、これも、ネムじゃん(笑)。
 万物は流転する。あらゆるものごとは変化するもんなんよ。ただ、万物は流転するんであって、
沈没するんでもないし、死滅するんでもない。消える生まれる、生まれる消えるのくりかえしが
流転なんであって、消える方ばっかを強調して不安がらせたりしちゃいけん。
ましてや、消える不安にかられて時代の変化を押し止めようとしても、いけんのんよ。
だって、そうすると新しく生まれるものごとが、生まれてこないもん。
 これから先、君たちが生きていく時代のことだけど、ヤドカリのようにある時は丸い巻き貝、
ある時はとんがった巻き貝、ある時は色つきの巻き貝に住みかを移しながら、生涯を生きていくって、
イメージしてくれないかナ。ヤドリギのように一本の木の枝にジーとしているんじゃなくて、
自由に賢明に懸命にあっちこっち動き回りながら貝がらを住み分けていく。
こんなイメージが伝わったら、今日のロングホームルームはオシマイオシマ〜イ。

 エッ?ヤドカリのイメージが伝わらんかったらどうかって?
ゲーッ、オレ、もう一回書き直すのブチせんないけェ、お願いだから、もう一度はじめっから
読みなおしてみてみてくらはい たのむ(笑)。でもオレ的には、イメージ伝わらんのって、
広島の先生くらいと思うんじゃけど オレ、こだわっちょるか?(笑)。
では、今日はここまで。

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