2007年/12月号
1. 今日のコラムは大人の方へ
 先月号は文化祭のお知らせが中心でしたから、コラムはお休みさせていただきました。
今月は、いつもながらの「高校生相手の雑談」形式ではなくて、
保護者のかたに読んでいただくように書きます。
もちろん、おじいちゃんやおばあちゃんや学校の先生方もふくまれますが、
第一義的には、野村が親御さんにつつしんで一筆啓上申し上げる、という形式です。
2. 子の心、親知らず
 15年も同じ仕事をしていますと、「この子、本当に育てにくいです!」
みたいな保護者のかたのメッセージに出会うことは、めずらしいわけではありません。
「ウチの子は、もう、どうしようもなくてバカでダメになってて、本当に育てにくくて、
どうすればいいかわかりません」という文脈は、
多くの場合、怒りの感情をまき散らすかのような語気をもって語られます。
 客観的には家族心理の葛藤ということなのですが、それを聞きながら私は
「そうですか、ということは、子どもさんにすれば、ずいぶん育ちにくかった、
ということにもなりますよね」とか、思ったりしています。
こんなことは、本当は口がさけても言わない方がよいのでしょう。
しかし、「親の心、子知らず!!」という前提で子どもさんを非難しておられる保護者のかたには、
時々は「子の心、親知らず」と、語りかけてみたくもなったりします。
 ついでにふれときますけど、我が子に対して怒りの言葉をまき散らしておられると、
ハプニング的にネム ハイスクールにも怒りが向けられる時があります。
「おたくにあずけたばっかりにうちの子が悪くなってしまって、授業料を払うくらいなら
お金をドブに捨てた方がいいと思うんですよ」とか(笑)。
私はカウンセリングの技能を修得しているので、そんな時は「この方は今、ご自分でコントロールできない
怒りの感情に支配されておられる」と客観的に情報を処理します。が、同じニュアンスを子どもさんに
投げかけたら、どうなるでしょうか。
 子どもさんはカウンセリングの技術など知るはずないですから、言葉を言葉どおりに
受け止めてしまうことでしょう。そして傷つき、行動にマイナス方向の変化が生じ、
家族心理の緊張は、おそらくは持続します。
「ネム ハイスクールだからこそ高校を卒業できる安心感」という大前提すら忘れてしまうほどに
冷静さを失っておられる保護者のかたが、ナイフのような言葉を子どもさんに投げつけるとすれば
「子の心、親知らず」という逆説も成り立つかも知れません。
3. 「A(アセスメント)で、あるとして…」
 私(=野村)や私のスタッフに共有される基礎知識の一部は、発達心理学の領域に広がっています。
発達心理学の領域の知識の一部は、DSM「という、アメリカ版の精神医学診断基準と重なります。
そのDSM「には、発達障害とか人格障害とか行為障害とか、フツーの保護者さんにはワケわからない
専門用語が並んでいたりします。

 心理学に軸足を置く人々は、DSM「の基準やいくつかの心理テストを併用して、ひとりひとりの
人間の特性を評価されます。アセスメントです。子どもさんの個性を理解するための重要な作業だと思います。
ただ、アセスメントはアセスメントなのであって、「それでどうなの?」と
言われたらおしまいになってしまう。
現実、子どもさんを育てている私たちにすれば、アセスメントを参考としつつも
「A(アセスメント)、で、あるとして・・・」という思考回路が働きます。臨床教育学の特徴でしょう。
 「AD・HD(注意欠陥・多動性障害)、で、あるとして・・・」
 「高機能広汎性発達障害、で、あるとして・・・」
 「・・・」の部分には、「レーベリング(レッテル張り)によるマイナス要因を回避しつつ、
衝動性に由来する行動の修正を教育課題とする」などという一文が入ります。
それから「学習内容の小段階区分化と各段階における達成感の蓄積」などといった方法論が
追加されるものです。読み違えを恐れるので急ぎつけ加えますが、
私はネムの子どもさんが発達障害だと言っているのではありません、念のため。

 ただ、ネムの子どもさんに設定すべき教育課題は、たとえば「伸びろ偏差値!」みたいに
単純化しにくいのも事実です。また、教育課題を達成するための手段も、あれやこれやと
うるさいばかりの口先コントロールでは、不可能であることが多い。
教育の個性化とは、骨の折れることだと思いつつ、だからこそのやりがいに私や
私のスタッフは人生をかけていけるのでしょう。
子どもさんの「A(アセスメント)」を固有に定めてその子に特有の教育課題を設定し、
その子独自の成長を個別に支援する ネム ハイスクールのこのような教育原理をぜひとも
ご理解いただきたいというのが、今日のコラムの主旨です。
4. 今日のおわりに
 15年。私(=野村)は15年、この仕事をしています。
保護者のかたに存在する「親の思い」と、その子に特有の「A(アセスメント)」がミスマッチを
おこしている時、家族心理が独特の緊張を示す例を多く拝見してきました。
 私は先日、15年間続けているこの仕事において、はじめて、私の方から一人の子どもさんの
入学をお断りしました。痛恨の極みながら、私に見えているその子どもさんの教育課題は、
その親御さんと共有されることはありませんでした。保護者のかたの信頼が得られない以上、
いたしかたないことでした。
信頼を寄せていただくことの困難さを痛感しつつ、今日はネム ハイスクールの専門性について
少しだけふれさせていただきました。私の理想はDSM「だの「A(アセスメント)」などには
ひとこともふれないで、「気がつけばこの子はこんなに大人になっていた!」と
周囲に思わせることなのですが、そんな名人芸までには、いまだ道遠し、のようです。


入 学 試 験 合 格 速 報  (12月19日現在)
東亜大学/山口東京理科大学/広島国際大学/広島国際学院大学/デジタルハリウッド大学/
広島工学院大学校(2名)/宇部文化服装学院/福岡女子短期大学/比治山大学/山口芸術短期大学(2名)/
順正高等看護専門学校/山口キャリアデザイン専門学校(2名)/大村美容専門学校/
福岡スクールオブミュージック専門学校/山口情報ビジネス専門学校(2名)/
福岡ビューティアート専門学校/山口調理師専門学校/麻生医療福祉専門学校/日本工学院専門学校/
岩国YMCA医療福祉専門学校/徳山看護専門学校/穴吹デザイン専門学校(順不同)


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