2007年/8月号
ネムってなに?
1.
今日の
はじめに
もう6年くらい昔のこと。ネムに通っていた女の子が「ネムをやめます」と言って来た。
よくよく話を聞くと、大学受験のためには福岡の予備校(高校生コースだった)に行くべきだ、
と決めたらしかった。
私(=野村)は反対しなかった。そして最後の面談の時、「気が向いたら帰っておいでネ!」と
伝えて見送った。それから3か月後のこと、その女の子はふたたびネムの子どもになってネムを卒業し、
今は大学を卒業して小さな広告代理店に勤めておられる。
2.
I am me.
ネムのパンフレットやHPに、I am me.というメッセージがたくさん使われているよね。
「私は、私だ」という自分感覚のことだ。この自分感覚は、私のとらえているところによると、
4つの領域をトータルしたものだ。
4つの領域は、アタマとカラダとキモチとオコナイ。知性と身体と心理と行為の4つだ。
5年前、私が女の子に「気が向いたら帰っておいでネ!」と語りかけて、
事実、3か月後にそのとおりになった理由は、その女の子に見られた自分感覚が、
バランスを大きく崩していたからにほかならない。少し、説明してみるね 。
暮らしていて、日々の中で「自分がうまくいっている」と実感できるのは、4つの領域で
自分感覚がバランスよく大きくなっている時だ。
逆に、「自分のことがとてもつまらない存在」と思っている時は、自分感覚のバランスが崩れていて、
しかも小さくちぢこまっている。自分感覚のバランスを崩してしまう理由は、
4つの領域のどこかにだけ、ひどくとらわれてしまうからだ。
アタマの領域にだけとらわれるのが、学歴主義。
偏差値だとか大学のブランドにばっかしこだわってしまうだろう。
カラダの領域にだけとらわれるのが、スパルタ主義。ブカツやスポ少では勝つことばっかしに
こだわって、時々カラダをこわしてしまったりする。
キモチの領域にだけとらわれるのが、心理主義。キモチをわかってほしいと自分のことばっかしに
こだわり続けて、相手のキモチを引きさいたりする。
オコナイの領域にだけとらわれるのが、形式主義。直立不動して君が代を歌わせたら
愛国心が子どもに育つという、カタチばっかしへのこだわりが法律に書かれたりもする。
いまどき、教育についてふれようとすると、4つの領域のどれかひとつにとらわれた
「ばっかし教育論」に必ず出会う。アタマばっかし、カラダばっかし、キモチばっかし、オコナイばっかし 。
もちろん、時々はアタマとオコナイを混ぜ合わせて「知行合一」、
キモチとカラダを混ぜ合わせて「心身相関」、
アタマとカラダを混ぜ合わせて「文武両道」みたいな議論もある。
しかし、「ばっかし」も「混ぜ合わせ」も「4つの領域」からするとバランスを欠いている。
I am me.という自分感覚は、4つの領域のトータルであり、それぞれの領域が
うまくバランスしてなきゃいけないの。
3.
ネムってなに?
6年前の女の子の「自分感覚」に、私(=野村)は「あせり」と「しんぱい」を見ていた。
焦燥感は、少しでも高い偏差値の大学に現役で合格しなければ、
自分が否定されてしまうとの思いに由来していた。不安感は、自分の成功が
約束されていないことに由来していた。あせりのためにおよそ「勉強を知的に楽しむ」ふうでもなかったし、
しんぱいは彼女の眠りをさまたげていたし、そもそも「継続したねばり強い学習」という行為そのものが
成立していなかった。つまり、その女の子の自分感覚は、バランスを欠いてちぢこまっていた。
だから私は「気が向いたら帰っておいでネ!」と送り出したし、彼女は3か月後に帰ってきた。
バランスを欠いた自分感覚の持ち主に説得は困難だし、ちぢこまった自分感覚に予備校の水は
合わないことを、今も当時も私は知っている。
ネムは、空気みたいな存在だ。そこに居ると、あるって気づかないけどそこから出てみれば
なくてはならないものとわかる、空気みたいな存在がネムだ。
君たちを育てている私やスタッフの視線は、いつも4つのバランスを見つめている。
あせっている子にはあえて大丈夫としか言わないし、おじけている子の前ではあえておどけと
笑ってみせるし、イラついている子の目をおだやかに見つめながら語りかけるし。
ネムのあまりにも日常的な「かかわり行動」は、実は、高度なコーチング理論とその実践の
歴史に支えられている。だから時には、何もしないということをあえてやり続けたりもするわけだ。
ネムって、なに?と思うことはないか?ふとそんな問いかけが心に浮かんできたら、
こう、思い出してほしい。
ネムって、空気だ。心のふるさとに満ちている、独特の香りを含んだ居心地のよい空気だ。
自分自身がバランスして巣立ったのちには、ふたたびは帰ることのない、
そしてやがて暮春嘆息の情がただようであろう、しかし今はなくてはならない「空気」が、ネムなんだ と。
4.
今日のオマケ
ネムという空気をいっぱい吸ってもらって、じゃあ、君たちはどこへ向って飛び立つのか 。
目標をしっかりと固めている子には、今日のオマケは必要ないです。
就職とか、専門学校進学や短大・4年制大学に進学するとか、自分の目標に向って頑張ってごらん。
ただね、ネムで高卒や高認を取った先のことって、やっぱし迷うじゃんか。
「どうすればいいんだろう」とか「なにすればいいんだろう」とか考えても、
サッパリ答が見つからない子も、多いだろう。それって、「君」の責任じゃない。
これほどまでに未来が不確定な世の中だ、18才くらいの「チビ」(←失礼―笑―)が、
これから先60年以上続く人生の方向をキッパリと決められるわけないよね。
不確実性とか流動性とかで特徴づけられる現代社会において、
「18才の決定」を求めることの方にムリがあるんよ、きっと。
で、迷ってる子たちのためにだけど、ネムでは5年前から「ネム短連携」をしているんだ。
高卒資格をクラークで取るのと同じように、短大卒業資格を通信制短期大学と連携して
取れるようになっている。
短大を卒業するネムのしくみは、3つの目的を持っている。
ひとつは、君たちがいろいろなことを考えたりためしたりする時間のキープ。
ひとつは、2年間でじっくり自分と社会との接点を見つめたあとで、4年制大学の3年次に編入すること。
ひとつは、短大卒業というキャリアアップした学歴を使って就職するため。
この3つはそれぞれがバラバラなんじゃなくて、それぞれがひとりひとりの未来計画にそって、
からみ合うようになっている。自分感覚をバランスさせるために「ネム短連携」のしくみを
うまく使いこなしてみるのも、進路選択のひとつかもしれないね。以上、今日のオマケでした。
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